Music & Technology

第14回 Pro Tools技術認定試験の概要

一般社団法人 日本音楽スタジオ協会   資格認定制度委員会  

●一般社団法人 日本音楽スタジオ協会の資格認定制度

音楽スタジオで働く人に求められる能力は、先進の録音機器をオペレーションする技術的知識は当然ですが、セッションを円滑に図るためのコミュニケーション力や、音楽的知識なども必要不可欠です。このような音楽とテクノロジー融合の時代にあって、そこで働く人の能力は、技術や機器の進歩以上に問われています。
一般社団法人日本音楽スタジオ協会(以下JAPRS)は2000年に資格認定制度委員会が発足したことを契機とし、「良いスタジオであるために最も大切な要件はスタジオで働く人にある」という基本理念に基づき、公益法人であるJAPRSにとって人材の育成は極めて重要な事業と位置付けました。
このような経過により構築した技術認定制度は、広範囲に優秀で感性豊かな将来性のあるレコーディングエンジニアの育成を主眼に置いています。そして2002年から始まった「サウンドレコーディング技術認定試験」は、これらの状況を踏まえ、若人達の育成計画を含めて、度重なる討議を繰り返して計画され、実施されています。


●日本音楽スタジオ協会のPro Tools技術認定試験

1982年にCompact Disc(CD)の発売が開始されてから、音楽の録音再生技術はデジタル化の一途をたどっています。特にマルチトラックレコーダーは音楽制作上、チャンネル数増加の要望が高かったため、アナログの24チャンネルテープレコーダーに代わり、48チャンネルのデジタルテープレコーダーが標準機として使用されてきました。
一方、映像制作の音処理に関しては、映像と音のシンクロを常時行うことから、テープレスシステム、いわゆるノンリニアレコーダーの導入が、いち早く進んできました。
汎用コンピュータのめざましい進歩と、リーズナブルな価格設定は、音楽制作にも大きな変革をもたらし、特にDigidesign社のPro Toolsはノンリニアレコーダーの利便性を音楽制作にも発展させ、順調にアップデートが行われたことも有り、プロのレコーディングシーンの標準機としての地位を確実なものとしました。
JAPRSでは、このような制作環境の変化を迎えつつある音楽スタジオで働く人に求められる要素として、Pro Toolsのオペレーション能力がより重要性を増していることから、2004年度より、これまでのサウンドレコーディング技術認定試験と併行して、この新たな技術認定制度を構築することと致しました。


●Pro Tools技術認定試験の問題集/技術資料集

Pro Tools技術認定試験については、本試験に準じた問題集を作成することでより効果的な学習が出来ると考え、本年度の試験にあたり、2017年度版Pro Tools技術認定試験用の問題集/技術資料集を発行することに致しました。
この問題集の詳細は初級と中級に区分され、「Pro Tools概要」「録音・編集」「ミキシング」「シンク・MIDI・ファイル管理など」の4分野を網羅した幅広い内容となっており、これからPro Tools技術認定試験を受験される方々にとっては、自己啓発のツールとして役に立つことと確信しております。

● Pro Tools技術認定試験の範囲

JAPRS資格認定制度委員会が作成する問題については、「2017年度版Pro Tools技術認定試験問題集/技術資料集」からの出題を予定しています。
試験問題の難易度については、受験者によって感じ方が異なると思います。既にスタジオで業務に就かれている方々は易しく感じられると思いますが、これから各学校でPro Toolsを学習される学生においては、入学年次の違いにより履修している範囲が異なると難易度の感じ方に差が生じてくると思います。


●認定証の交付

これらの試験結果に対してはJAPRSより「認定証」を交付致しますが、Pro Tools技術認定試験については、受験者の合否を判定するものではなく、受験者の今現在の能力レベルを判断することを基本としていますので、自分の得意分野、不得意分野を確認するのに最適と考えます。そのため各自の正答数の合計による総合評価のA〜Eランクが認定されると共に、各分野別の「成績証明書」も交付致します。
この「認定証」および「成績証明書」は、JAPRSの会員各社における人材採用にあたり、必ずや役立つものと確信しておりますので、受験者は大切に保管の上、自分のPro Toolsにかかわる技術の評価が必要とされる様々な機会にお役立て下さい。
Music & Technologyを旗印に次世代を担う優秀な人材が数多く輩出し、将来の日本の音楽文化を支えてくれることを、心より期待するものであります。